2022年の研究成果を簡潔に紹介します。

【2022/10/07 更新】


Fujisaki et al., 2022

 色んな地質標準試料中の有機物の炭素・窒素同位体比を、酸分解方法を変えて分析。炭素に関してはカプセルを金でコーティングして、その中で酸分解するとロスが少なくなる事が分かりました。窒素は逆にブランクが上がってしまって、金コーティングしても良くないようです(右図)。

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Suda et al., 2022

 長野県白馬地域には水素とメタンに富む特異的な温泉水が噴出します。希ガスの同位体比含め諸々検討すると、白馬の温泉水中のメタンは天水が関与し得ないような凄い地下深部から上昇してきたことが明らかになりました。

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Sawaki et al., 2022a

 山梨県甲府盆地周辺に1500~400万年前に形成された花崗岩が露出します。花崗岩は深部で定置して固まるまで、多かれ少なかれ堆積岩を混入し、それは花崗岩の化学組成に反映されます。今回、花崗岩の中に含まれるジルコンという鉱物の化学組成を系統的に調べた結果、ジルコン中のNb, Ta, Ce濃度が堆積岩混入量に応じて変化することが分かりました。砕屑性ジルコンの化学組成に応用させれば、その砕屑性ジルコンの母岩がどの程度堆積岩を混入していたかが議論可能になります。

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Sawaki et al., 2022b

 花崗岩という深成岩は地球を特徴づける岩石です。様々な分類方法がありますが、その中でM型(mantle-type)、I型(igneous-type)、S型(sedimentary-type)、A型(alkaline-type)の4つに分ける分類法があります。それぞれ岩石として特徴的な化学組成を持つことが知られていましたが、その中のジルコンという鉱物の微量元素組成を調べてみると、岩石同様、各型に特徴的な化学組成を持つことが明らかになりました。砕屑性ジルコンに応用すれば、年代のみならず、後背地にどんな型の花崗岩があったのかが推測可能になりました。

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