2018年の研究成果を簡潔に紹介します。

【更新日】2018/10/27


筆頭著者の研究

Sawaki et al., 2018

 南中国三峡地域のエディアカラ紀~カンブリア紀の地層中の黄鉄鉱の鉄同位体比を測定しました。その結果、化石が多産する三峡地域ではferruginous(溶存鉄に富んだ貧酸素環境)が続いていた事を明らかにしました。

 正直あんまり内容は面白くないですが、鉄同位体比を酸化還元環境の復元にどう使うべきか、鉄同位体比にまつわる最新の研究の紹介だと思って読んでいただければ嬉しいです。詳細は本文をご覧ください。



共著の研究


Fujisaki et al., 2018

 顕生代の5大絶滅の一つがトリアス紀-ジュラ紀境界(約2億年前)に起こったと言われています。この前後において、これまで浅海の生物活動に3度の変化があった事は知られていましたが、深海においてはデータがありませんでした。この論文では犬山に露出する深海堆積物を使って深海における生物活動を調べた結果、深海においても3回の変化があり、かつこの時期の大規模火勢活動との因果関係が見えてきました。

 詳細は本文にて



Asanuma et al., 2018

 オーストラリア北西部のピルバラ地塊には太古代という古い時代の岩石が広範囲に露出します。ノースポール地域という地域の地層に貫入している花崗岩という岩石の年代を新たに34.54億年前と決めました。この地域の地層に含まれる化石は、そのような古い時代のものである事を再確認できました。詳細は本文にて



Kato, Aoki, et al., 2018

 南アフリカ東部、バーバートン緑色岩帯には35億年前という古い時代の火山岩が良好に露出します。この地域の岩石は過去には海底にあって、熱水が循環することによって変成作用を受けています。この研究ではその時の温度圧力を推定しています。その結果、この地域の岩石は最大で30km相当の深度で620-660℃の温度で温められていた事が分かりました。詳細は本文にて



Fairchild et al. 2018

 後期原生代に地球が全球的に凍りついた時代があったと考えられており、その時代を氷成紀(8.5~6.3億年前)と言います。その時代の始まりを定義する模式地を「イギリスにあるGarvellachs諸島の露頭に置こう」という提案をした論文です。詳細は本文をご参照下さい。